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松舞町ラブストーリー
山陰の仮想の町松舞町を舞台にした、様々な恋愛を見守ってやって下さいね。
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It is breezing on May
「お~い、楓ぇ はやこと苗運んでごせやぁ」
「んもう~、お兄ちゃん人使いが荒いよ~」
「ちょっとぉ、そこの男子二人! コーラばっか飲んでないで、少しは苗を運ぶの手伝いなさいよぉ・・・か弱い女の子達が、汗水たらして運んでんだからさぁ」
「そげに俺と健吾は、この後苗を植えないけんけん、力を温存しとかないけんわや。なぁ健吾」
「いや、ヒデ兄は田植え機運転するだけでしょ、畦際は俺が手植えするんだからさ。」

今年もゴールデンウィーク恒例の、大田植え大会の季節がやって来ました。
こんにちは、楓です。
―――――――――5月1日(日)―――――――――
今年は震災の影響(遅くなりましたが、震災で亡くなられた方の御冥福をお祈りいたします。)で、ゴールデンウィークの客足は多くないだろうって話になって、道の駅ショップのアルバイトはしなくてよくなりました。
って言っても、代わりに田植えの手伝いをしなきゃいけないんですよね・・・昨日は健吾の家の田植えを手伝って、今日はうちの田んぼの田植えです。
どの道働かなきゃいけないんなら、アルバイトしていた方がお財布の中身が増えて良いんですけどね。

「OKモリヒデ、苗運び終わったわよ。あ~疲れたぁ・・・ねぇ楓ちゃん、今度は私達が休憩しようか」
「そうですね、佳奈絵さん♪ じゃあ健吾にお兄ちゃん、後は頼んだね」

お疲れ楓、そう言いながら健吾が飲みかけのコーラを私に手渡した。
「ありがとう健吾、頑張ってね」
・・・どうせなら、飲みかけじゃなくて未開封のコーラを手渡して貰いたいんですけどね(笑)

ちょっぴり温くなったコーラを一気に飲み干す。
「あ~、五臓六腑に染み渡るわぁ・・・」
今のセリフ親父臭いって、佳奈絵さんが笑ってます。
うっ、お父さんの口癖がうつってしまったんでしょうか・・・

少し高くなった道路の際に佳奈絵さんと腰を下ろす。
「あ~、この辺は気持ちいい風吹いてるわね、楓ちゃん」
「そうですね。今日も結構暑いですね、この間まで寒くて仕方なかったんですけど。」
「そうよねぇ。うちの事務所、たまに冷房入れてるよ、もう。」
「早っ。そう言えば仕事の方、少しは慣れました?」
「う~んボチボチかな。結構お局さんがキツイのよね。楓ちゃんの方はどうなの? 進路決まった?」

うっ・・・今、触れてもらいたくない話題です。
正直、進学したい気持ちが強いんですが、お兄ちゃんや佳奈絵さんを見ていると、就職も悪くないかなって気がします。
「まだ、悩んでいるんですよ佳奈絵さん。」
「そっかぁ・・・健吾君の方はどうなのよ?」
「あいつは島大狙いみたいです。それなら、生活費の心配いらないからって。」
「じゃあ、松舞から通うんだ、結構大変だよ・・・大学と言えば、この前青木君から近況報告のメールが来たわよ。」
「あっ、どうですって?」
「うん、大学にも慣れて、ゴールデンウィークからアルバイトも始めるって。沢田さんも、元気だってさ」

青木先輩も沢田先輩も、第一志望だった神戸大学に合格し、春から関西に住んでおられます。
恋人同士が同じ進路って羨ましいですよね。
「そっか二人とも元気なんですね。でも良いですよね、恋人同士同じ大学って。」
「確かにね、あの二人結構お似合いだったもんね。私は、もしモリヒデと同じ大学だったら考えるわよ、きっと。」
「あ・・・確かに分かります、それ」
「なんてね。きっとモリヒデと一緒の大学通っていたとしても、楽しく過ごしていたと思うわよ。」
「無理しなくて良いですよ、佳奈絵さん(笑)」

「え~無理なんかしてないって楓ちゃん。そりゃ確かに頭に来る事も多いけど、今の生活を見る限り、きっとちゃんとやっていける気がするもん」
ちょっと真剣な顔で話す佳奈絵さんが、すごく大人に見えてしまった。
私も健吾との事、そう言う風に言える時が来るのかな?
ちらっと健吾の方に目をやる。
JAのタオルを頭に巻いて、黙々と稲を植えている。
その姿が、幼い頃見たお父さんの姿にそっくりで、思わず遠い記憶が蘇ってくる。

大学在学中にお祖父ちゃんが亡くなったって事で、中退して家業の農業を継いだって、いつか酔っぱらって話していた。
本当は、東京で出版関係の仕事に就きたかったらしい。
こっちに戻ってきて、農業を始めようにもさっぱり訳が分からず、結構苦労したそうです。
見かねた総代さんが、実の娘を手伝いに行かせて・・・それが私のお母さん。
プロポーズしたのが、農作業中って言うからどこかの歌の歌詞みたいですよね。
でもお母さんは、色々文句を言いながらもお父さんを心から頼りにしているのが、良く分かる。
もし、この先健吾と結婚なんて事になったとして、我が家みたいな家庭を築ければって言うのが、私の希望でしょうか。



「さて・・・そろそろ、お昼ごはんの準備しに帰ろうか、楓ちゃん」佳奈絵さんが、ジャージに付いた草を払いなが立ち上がった。
「そうですね。ねぇ健吾、私達お昼ご飯の準備に帰るからねぇ」
黙々と稲を植えていた健吾が、汗を手で拭いながら手を上げる。
「ちょっと健吾。そんな手で顔拭いたら・・・」
「あ~ぁ健吾君、泥んこ遊びしてる子供みたいな顔だよ」佳奈絵さんが指をさして笑っています。

「もう健吾ったら」
そう言いながら、タオルを手に畦を駆けて行く。
「ほら健吾、そんな泥だらけの手で顔拭ったら、その汚い顔が余計汚れるでしょ」
「汚くて悪かったな、ほら貸せよタオル」
「ダメだって、あんたの顔拭く前にタオルが泥だらけになっちゃうでしょ。ほら、顔出しなさい!」
健吾がシブシブ顔を前に突き出した。
「じっと、しちょうだよ」
そう言いながら、健吾のほっぺやおでこを丁寧に拭いた。



「あんら、け~。どこの新婚さんかと思ったら、健吾君と楓ちゃんかね。」
道路の方から声がしたので振り返ると、そこには荷台に野菜や切花を沢山積んだ細木さんちの軽トラが止まっていた。
「細木のおばさん、やめてごすだわね、新婚さんだなんて」
そう言いながら健吾は、飛ぶように離れた。
「えわねえわね、今更隠さんでも。あんたらが仲が得ぇのは、みんな知っちょうけん。」

・・・そうか新婚さんかぁ。
こんな感じだったら、健吾ともやっていけるかも。
爽やかな五月の風が頬をひとつ撫で、草いきれが、どこか懐かしく感じられた。



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