松舞町ラブストーリー
山陰の仮想の町松舞町を舞台にした、様々な恋愛を見守ってやって下さいね。
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プロローグ
さっきから、心臓がバクバクと、鼓動を打っています。
廊下に出て、一度深呼吸をして来ました。
廊下の窓から外を眺めると、校庭が眼下に広がっており、その向こうに松舞の街並み、そしてその向こうには新緑が目吹き始めた、中国山脈が広がっていた。
冬も終わったなぁ・・・人生の冬も今日で終わりだと良いんですが。
僕は音楽室に戻り、フルートを吹く沢田先輩の前に立った。
「あの~沢田先輩・・・」
こんにちは、本田圭吾です。
―――――――――3月12日(金)―――――――――
「なぁに、本田君?」少し緊張した顔で、沢田先輩が僕の方を向く。
きっと、何故僕が声を掛けたのか察しているのだろう。
落ち着いていた心臓が一段と激しく鼓動をし始めた。
視線の端に、楓の姿が写ったが、あいつの顔を見る事は出来なかった、照れ臭い様な、そして楓の表情を読み取るのが少し怖かった。
「練習中にスイマセン。後で少し時間良いですか?」
「うん、良いわよ」
「部活が終わったら、クリスマスイブの時の3ーCの教室に来てもらえますか?」
「うっうん、分かった」
僕はクルッと振り返り、もう一度廊下に出た。

・・・だぁ~、何やってんだ俺。
その場で渡すつもりだったのに、先輩の声を聞いたら・・・・・・緊張してしまい、つい部活後にあの教室に呼び出してしまった。
告白する時間がずれただけで、何も前に進んでいませんよね(^^;)
僕の後を追う様に楓が、音楽室から出てきた。
「ねぇ、本田。ちゃんとクッキー渡せた?『好きです』って告白した?」
「馬鹿、あんなに部員が居る前で、言えるかよ」
「そりゃそうだけど・・・ちゃんと、愛の使者が見守ってるんだから安心しなさいよ。」
「ほっとけよ、大きなお世話だって。お前は、青木先輩にプレゼント貰って、ラブラブモードに入ってりゃ良いだろ。」
少し楓の表情が暗くなった
・・・何?俺、何かマズイ事言っちまった?
「あのね、青木先輩から何も貰ってないんだ・・・実はね、この前別れたんだ・・・」
「そうか、それは言っちゃいけない事言っちまったな、ゴメン」
「気にしないで、私の事より、今はあんたの事だから」
初耳だぞ、そんなそぶりはひとっつも見せなかったな。
他人の心配より、自分の心配が先じゃないかよ楓の奴。
気丈に振る舞う楓の姿が、凛として僕のまぶたに焼き付いた。

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 ある高校生の夏休み編【完結】
(小夜曲)sérénade編【完結】
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本田・沢田編
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本田・楓編
2009年収穫祭編【完結】


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テーマ:恋愛小説 - ジャンル:小説・文学

リハーサル
「あのね、青木先輩から何も貰ってないんだ・・・実はね、この前別れたんだ・・・」
本当はそんな事、話すつもりは無かったんですけどね。
こんにちは、森山楓です。
―――――――――3月12日(金)―――――――――
青木先輩と別れたのは、本当の話です。
上手く説明出来ないんですけど、青木先輩は理想の彼氏では、無かったんです。
「どんな男の子が理想か?」って、聞かれるとそれはそれで返答に困るんですが(^^;)
ただ言える事は、中学の時、本田と一緒に過ごした日々程、楽しくなかったって言うのは有りますね。
ネガティブで、デリカシーの欠片も無い奴ですけど、一緒に居ると安心出来てた。
ただ単に、幼馴染みだからなのかも知れませんが、変に緊張する事も無く、気を使う事も無い、空気みたいな奴の存在が、一番心地よかった。
もちろん、青木先輩が悪い人って訳じゃないですよ。
ただ、色々と背伸びをしなきゃいけない自分に、ちょっぴり疲れました。
素のままの自分で居られる、本田との日々が最近になって、良かったと感じられる様になっていました。
空気の様な存在だけど、空気って考えてみたら、人が生きていく上で無くてはならない物なんですよね。

・・・そんな、私の事は今はどうだって良いんですよ。
今は、愛の使者として本田の告白が、上手く行く様にする事が重要ですよね。
本田に彼女が出来ちゃえば、私も本田の事、諦めが付く様な気がします。

「それで、あんた、ちゃんと告白のセリフ考えて来たの?」
「まぁ、一応な・・・」
「ねぇねぇ、どんな内容?ちょっと聞かせてよ。私が添削してあげるからさぁ」
「馬鹿、照れ臭いだろ。良いって、何とかやってみせるって」
「でも、折角の告白タイムなんだよ、ビシッと決めなきゃいけない時に、どもったり噛んだりしたら、それで終わりだよ。まぁ、その方があんたらしいけどさぁ。」
「何だよ、その俺らしいってのはよ~」
「だって、本当の事じゃん。ほら、私相手にリハーサルしてみなさいよ」
・・・その時、ある曲が頭を過った。
たまたま見掛けたアニメの、エンディングなんですけど、自分で彼女への告白をリハーサルしてみて、そしてそのまま本気になればいいのに・・・そんな感じの曲が有った。
そう、正にその曲の歌詞通りだと思った。
全て私でリハーサルしてみれば、良いのよ。
そして、楽しかった中学時代みたいに、私の事を・・・

でも、それって身勝手過ぎますよね。
本田との別れを切り出したのは、私の方なんですから。
でも、もし時を巻き戻せるのなら、別れを告げる自分に、忠告したい・・・そんなの、無理な話なんですけどね。
だから、本田に彼女が出来ちゃえば、私も諦めが付くかなって、思っているんです。

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2009年収穫祭編【完結】


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エピローグ
「だって、本当の事じゃん。ほら、私相手にリハーサルしてみなさいよ」
楓がそんな事を言ってきた。
リハーサルって・・・お前はそれで本当に満足なのか?
何故かそう、思えてならないです・・・こんにちは、本田です。
―――――――――3月12日(金)―――――――――
楓のセリフは、自棄を起こしているとしか思えなかった。
・・・考えてみたら楓の奴、これで何回目の失恋だ?
保育所の時の、ケンジに始まって、小1の時がシンイチ、小3の時は確か2人にふられたんだっけ?
小5、小6、中2と来て・・・
中3の時は・・・忘れもしない俺との別れだ。
でも、これはどちらかと言うと、楓の方から別れを切り出したんだから、当てはまらないかなぁ

こっちは、当分その失恋を引きずってたんだからな。
ありゃしんどかった・・・
今でもその傷が癒えてないのか、楓の視線をいつも追いかけていた。その視線の先に居るのは、そう、青木先輩だった。
考えてみたら、保育所の頃から、楓の視線の先を、目で追っていた様な気がする。
だから、あいつの好きな奴を、いつも言い当てる事が出来た。
俺の中では、楓って存在が心臓や脳の様に、身体の一部になっているんだろうなぁ。
失恋の傷が癒えたのではなく、他に目を向ける事が出来る様になっただけの事だったって、今になって気付く。
いや、他に目を向けていなきゃ、叶う事の無い楓への思いを断ち切れなかったのだろう。

今、楓にリハーサルとは言え、告白をしたとして、一体どうなるのだろう。
未だに、何かと俺にお節介を焼いてくるが、あいつの気持ちはあの別れを切り出された日に、決まっていたはずだ。
そう、俺はあいつの望む様な男じゃ無かったんだから。
だが・・・もし、楓に少しでも俺への未練が有るのなら・・・
いや、それは無いだろう。
だったら、逆にリハーサルするには好都合かもしれないな。
楓で一度練習をしておくのも、いいアイディアの様に思えてきた。

「じゃあ楓、お前でリハーサルしても良いんだな?」
「もちろんよ、ちゃ~んと私が添削してあげるから。厳しいわよ私のチェックは。」
「でも、この廊下じゃなぁ・・・ちょっと、下の教室に付き合えよ、楓」
「うん」
俺達は音楽室を離れ、下の教室に降りていく。

静まり返った教室、窓の外からは野球部の声が聞こえていた。
「じゃあ良いか、楓。」
俺は深呼吸をする。


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新しいプロローグ
「じゃあ良いか、楓。」
本田が、大きく息を吸い込んだ・・・
これから本田が喋る言葉は、私の物じゃない・・・沢田先輩の為の物だ。
自分にそう言い聞かせる・・・
静まり返った教室に、野球部のノックの音が響き渡ってます。
こんにちは、森山楓です。
―――――――――3月12日(金)―――――――――
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・!ちょっと、本田~。いきなり黙り込んでどうするのよ~。リハーサルでこんなんじゃあ、本番の時何もしゃべれないわよ」
「・・・分かってるって。そう焦らすなよな、楓。よし、じゃあ今度こそ行くぞ。」
「いいわよ。」
本田の奴、じらすからこっちが、ドキドキしちゃいます。
「・・・沢田先輩、これバレンタインのお返しです」
「ちょっと待て本田~。いきなり本題かよ~、少しは他の話をして、雰囲気を盛り上げろよな。」
「え~い、いちいち注文が多いなぁ、分かったよ。
・・・。」
あ~、こんなんじゃ先が思いやれらますね(^^;)
「沢田先輩、いよいよ春になりましたね。」
・・・う~ん、強引な振りだなぁ(笑)
「暖かくなって来ましたから、色々な所行きたくなりません?・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・!こら楓、相槌位打てよ」
「あっ、そうかゴメンゴメン・・・そうねぇ~、本田君ならどこ行きたい?」
「俺ですかぁ?そうだな~雲山に映画見に行ったり、眺めの良い所でのんびりとかしたいですね。」
「のんびりかぁ~。良い場所知ってるよ、私。良かったら今度一緒に行かない?」
「マジですか? うれしいっす。俺、必至に頑張って弁当作って行きますよ。」
「え~、本田の弁当?大丈夫なの~?」
「おう、クッキー作ってから、なんか料理に目覚めちゃってよ。実は、ここの所お昼の弁当、自分で作ってんだぜ。」
「どうせ、冷凍食品ばっかりでしょ!」
「ほっとけよ、何事も先ずは始める事が大事だろ。」
「でも、あんたの弁当だと不安だなぁ。そうだ早起きして一緒に弁当作ろうよ。大森からそんなに離れてないから、急いで出掛けなくても大丈夫だよ。」
「そっか、じゃあ一つ考えてみようかな。」
「・・・ねぇ」
「・・・おい」
「いつの間にか、リハーサルじゃなくて、普通の会話になってるね」
「おう、そうだな(笑)。お前が素に返答するからだぞ~」
「ゴメンゴメンつい・・・。もう一度、リハーサルし直さなきゃね。」
「じゃあ、良いか? ・・・え~っと、沢田先輩は映画とか見に行きますか?」
「私? そうねたまに行くわよ。本田君はどんな映画とか見るの?」
「俺ですかぁ、何でもみますよ。アクションからホラー、ラブストーリーまで。」
「へぇ、ラブストーリーって意外ねぇ」
「そうだ、今度見たいラブストーリーが有るんだよ。楓一緒に見に行かないか?」
「う~ん、本田とラブストーリーかぁ・・・。イマイチな気もするけどなぁ・・・でも、たまには良いかな」
「よし、じゃあ行こうぜ。その映画再来週から公開なんだ」
「どんなストーリーなの?本田」
「それはだな・・・っておいおい」
「あはは、又、素に会話してるね私達。これじゃあ、まるで中学の時みたいだね。でも今度はあんたが悪いんだかんね。」
「分かってるって・・・じゃあ、今度こそ本番だ!」
リハーサルの本番って?(^^;)

「楓、俺実はお前の事・・・」
ちょっと、のっけから間違えてるって、私じゃなくて沢田先輩でしょ! しかも「お前」なんて呼び捨てにしちゃって
「今でも好きなんだ」
今でもって?文法がおかしくない?
「だから、もう一度付き合ってくれないか?」
いや、あんたと沢田先輩は、もう一度じゃなくて、これから付き合い始め・・・えっ?
何?それ?ひょっとして?
「ちょっと、本田。それって・・・」
「馬鹿、もう一回言えるかよ、こんな恥ずかしい事。それより、お前の返事は?」
私?私の返事?
私は何も言えずに、うつむいた。
ポロポロと嬉し涙が溢れて来た。
「楓・・・」そう言いながら、本田が私をギュッと抱きしめる。
「こら本田、痛いって・・・」
「やっぱり、俺はお前と居るのが一番楽しいんだ。だから、お前を失いたくない。もう一度、俺と・・・俺と・・・」
「本田・・・あの時はゴメン。私どうにかしてたんだろうね。私も、本田の事が一番好き・・・だから、一緒に映画を見て、一緒にお弁当食べながらのんびりしよ。」
そっと本田にキスをした・・・歌の歌詞通りじゃないけど、本田が本気になってくれた。
沢田先輩には申し訳無いけど、本田だけは誰にも渡さないって決めました、私だけの本田です。





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もう一つのエピローグ
「あはは、又、素に会話してるね私達。これじゃあ、まるで中学の時みたいだね。」
そのセリフを聞いた瞬間、僕の気持ちは、楓に一気に流れ込んで行きました。
度々こんにちは(笑)、本田です。
―――――――――3月12日(金)―――――――――
「分かってるって・・・じゃあ、今度こそ本番だ!」
そのセリフを言った時、僕の心は決まってました。
・・・楓とリハーサルをしながら、考えてました、もし今日、沢田先輩に告白して、付き合う事になったとして、俺は楓の視線を追う事をしなくなると言い切れるだろうか?って。
「お前はそれで本当に満足なのか?」って、楓に問う前に俺自身に問うてみなきゃいけないかもな。
確かに、沢田先輩は美人だし、俺にはもったいない女性です。
もちろん沢田先輩と、過ごす時間は楽しいですよ。
でも、今でも少し緊張している。
女の子と数多く、付き合った事無いけど、楓と付き合っていた時が、一番素の自分で居られた様な気がする。
沢田先輩に100%本気になれなかったのは、多分、いや間違いなく楓との日々が、忘れられないからだろう。
今日この瞬間を逃したら、一生後悔するんじゃないんだろうか?
例え、沢田先輩とハッピーエンドを迎えられたとしても、または他の女の子と付き合う事になったとしても、きっと心のどこかで、楓との日々を忘れられずに居るんだろうなぁ。
誰かが、「男は、初恋をいつまでも引きずる」って、言っていた。
そんな事無いでしょって、その時は思っていたけど、今はその意見にうんうんって、素直に頷く事が出来る。
元々、終わった恋だ。今更、楓にもう一回振られたとしても、全然怖くない。

僕は今日何度目かの深呼吸をした。
「楓、俺実はお前の事・・・今でも好きなんだ」
緊張で喉がカラカラに乾いています。
「だから、もう一度付き合ってくれないか?」
そう、それが僕の出した答えだった。
ちゃんと噛まずに言えました。

「ちょっと、本田。それって・・・」
「馬鹿、もう一回言えるかよ、こんな恥ずかしい事」
ったくぅ楓の奴、こんな時位スマートに返事出来ないかな~(笑)
楓の頬を涙が伝っていた。
その涙の意味が分からず、ドキッとした。
どうしたら良いか分からず、頭の中が真っ白になった
「楓・・・」
そう言いながら、訳も分からず楓をギュって抱きしめていた。
「こら本田、痛いって・・・」
今、この腕を解いたら、楓は戻ってこない気がして、より一層抱きしめる腕に力を込めた。
「やっぱり、俺はお前と居るのが一番楽しいんだ。だから、お前を失いたくない。もう一度、俺と・・・俺と・・・」
その先のセリフを言い出す前に、楓が唇を寄せて来た。
きっと、これが楓の答えなのだろう。
気が付くと僕は、楓の頭を強く抱きしめていた・・・






「沢田先輩、これ俺の手作りクッキーなんですけど、良かったら食べてもらえますか?」
「え~本田君の手作りクッキー? ちゃんと味見した?」
「はい、少なくとも砂糖と塩は間違えていませんから。」
「ありがとう、本田君。ありがたく頂くわ。」
「沢田先輩・・・これからも、俺の素敵な先輩で居て下さいね。」
「・・・それって、どう言う意味かな?本田君」
「それは・・・その~あの~、俺にとって沢田先輩は、憧れの女性でした。そして素敵な思い出を一杯貰いました。でも沢田先輩にお似合いの男は、別に居ると思います。俺なんかを相手してたら、絶対後悔します。俺には忘れたくても忘れられない、そして切っても切れない縁の奴が居るんです、スイマセン。」
「・・・ありがとう本田君。ちゃんと本当の気持ちを言ってくれて。分かってた、本田君は私と話していても、視線は森山さんを追いかけてたもんね。」
「気が付いていたんですか?・・・すいません」
「んで、うまく行ったんだ、本田君。良かったじゃん、おめでとう。」
「ありがとうございます、沢田先輩。でも、本当にすいません。」
「謝る事、無いって。どの道、私は受験勉強が忙しくなるし、県外の大学志望だから遠距離になっちゃうもんね。私は、この一年頑張って勉強して、無事大学生になってから、恋愛するわ。」
「沢田先輩なら、自分で探さなくても、男の方から寄って来ますって。」
「うふふ、ありがとう本田君。ちゃんと気の利いた御世辞が言えるんだね。」
「あっ、ヒドイなぁ沢田先輩。僕ってそんなにダメな男ですか?」
「そうね、ダメダメ過ぎて放っておけない感じかな・・・な~んてね、そんな事無いよ。でもね、だからって気を抜いてたら、他の男子に森山さんを盗られちゃうわよ。」
「はい、気を付けます沢田先輩」
「よろしい本田君。じゃあ私帰るから。森山さんにヨロシクね。あっそれと、クッキーありがとう。」
そう言うと、沢田先輩は振り返る事無く、教室を出て行った。

僕も教室を出た。そしてその足で、楓の待つモリヒデさんのアパートに向かう。
一応、ホワイトディの結果を、ヒデ兄と佳奈絵さんに報告しておこうって、楓と話合ったからだ。
ヒデ兄驚くだろうなぁ(^^;)
中学時代付き合っていた事は、知らないからマジかよって言いそうな気がするわ。
そんな事を考えながら、夕日に染まる松舞の街並みを歩く僕。
きっと、幸せな顔しています。


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会社の倉庫で、小村先輩と明日の工事の準備をしていたら、携帯にメールが届いた。
作業の手を止めて、携帯をチェックするとヒグラシから、メールが届いていた。
「え~っと、何々?」
俺はメールの文章を読み、ニヤッと笑った。
こんばんわ、モリヒデです
―――――――――3月12日(金)―――――――――
「何だよ森山~。気持ち悪いなぁ、ニヤニヤ笑って。佳奈絵ちゃんからのメールかぁ?」
「佳奈絵ちゃん・・・?あぁ、ヒグラシの事ですか、確かにヒグラシからのメールなんですけどね。うちの妹に、男が出来たんですって。」
「へぇ~、でもそれって兄貴として心配じゃないんか?」
「全然心配じゃないですよ。それに今度の男は、生まれた時からの幼馴染みなんですよ。ほら、クリスマスコンサートの時、ジャズでサックスのソロ吹いた奴、あいつなんです。」
「お~、あの高校生ってお前の妹の幼馴染みかぁ~。幼馴染と結ばれるって、何か羨ましいなぁ~」
「あっ、今のセリフ美咲先生に、チクっちゃいますよ。」
「馬鹿、冗談だって。」
本気で焦る、小村先輩が可愛いです。
「そいつは俺の事を、『ヒデにい』って呼んでいて、殆ど弟みたいな奴なんですよ。
正直、変な男に引っ掛かるより、そいつと付き合ってくれればって思ってたんですよ。
ちょっと頼りない感じの奴なんですけどね、芯はしっかりしてるし、優しい奴なんです。
そいつなら、妹の良い所も悪い所も知ってるから、上手くコントロールしてくれると思うんですよ。」
「ほぉ~、お前が褒める位なんだから、相当良い奴なんだろうな。」
「そう言えばそうですね(笑)。俺が認める男なんてそうは居ないですよね。・・・それで、今、その報告を兼ねて、うちのアパートに来てるそうなんです。
この積み込みが終わったら、帰っちゃっても良いっすか?」
「おう、いいぞ。でも本当は、妹より佳奈絵ちゃんに会いたいんだろ(笑)」
「佳奈絵ちゃんなんて、言われると調子狂っちゃいますよ。あんな奴、ヒグラシで十分ですよ、ヒグラシで。」
「馬鹿、佳奈絵ちゃんの事を『ヒグラシ』って呼んでも良いのは、お前だけだろ。お前だけがそう呼べる権利が有るんだぞ。」
「そんな物っすか?」
「恋人って、そんな物だって・・・。ほら、それ積んだら帰って良いぞ、森山。佳奈絵ちゃんと妹さんにヨロシクな」
「マジっすか?あざ~っす、小村先輩」

ヒグラシって呼ぶ様になって、気が付いたらもう少しで4年目だ。
ヒグラシと俺も、お互いを理解して、上手くコントロール出来る様になっていた。
この前の健吾のクッキー作りを思い出した。
あんな感じで、4人仲良く過ごせたら・・・そう考えたら、少し照れ臭くなった。
さて・・・サンモールでケーキでも買って帰ってやっかな。
楓と健吾の事だから、どうせ何も手土産持たずに、ヒグラシの家に上がり込んでんだろうからな。

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「さぁ~いらっしゃい、いらっしゃい~」
「よぉ、健吾頑張っちょうかぁ?」
「あったりまえだろ~。売り上げが無きゃあ、バイト代ごされんけんな。楓もちゃんと売っちょうか?」
「うん、ちゃんと売っちょうよ。じゃあ頑張あだわね、うちの看板息子(笑)」
みなさん、おはようございます、健吾です。
―――――――――5月2日(日)―――――――――
事の起こりは、大森の町はずれの国道に、「道の駅」が出来た事でした。
集落の婦人会・・・要は、おばちゃん連中が、道の駅に地域の特産物の特売コーナーを出す事になったんです。
もちろん、うちの母親や森山のおばさんも、参加しています。
昨日5月1日は、ゴールデンウィーク5連休の初日・・・天気も良かったから、相当の人出だったそうです。
そして、ヘトヘトになって帰って来た母親が開口一番、「ちょっこぉ健吾、あんたは、どげせ家でテレビゲームやっちょうだけだが・・・明日から、特売コーナーてごすうだわ! 売り上げが有ったら、ちゃんとアルバイト代やぁけんって、会長さんが言っちょちゃあけん。」
「え~、マジ~・・・なして俺が?父ちゃん達がてごすりゃええがね~」
「しゃん事出来んわね、父ちゃん達は田植えで忙しいけんね。あんたは田植えのてごも、しちょらんがね。
だけん頼んだよ、楓ちゃんと2人で頑張ぇだわ」
「え~、楓も一緒かね! 益々やりたないなぁ・・・」
適当に売り場をブラブラして、怠けて様かと思ってましたが、楓が一緒なら逐一チェックされてそうです。


売り場の準備が有るとかで、朝は6時半に叩き起こされました。
森山のおばさんの車に同乗する為に、楓んちに向かう。
「おはよう~、健吾。私は売り子すうけん、あんたは力仕事頼んだけんね。」
「だらず、楓も力仕事すうだわや!」
「なして、か弱い私が荷物運びせな、いけんけね~」
「こらこら、二人とも朝から喧嘩せんでも、え~がね。」
振り返ると、佳奈絵さんが立っていた。
「あっ、佳奈絵さんおはようございます♪ 佳奈絵さんも、特売コーナーに駆り出されました?」
「おはよ、健吾君。ううん、私は特売コーナーじゃなくて、田植えのてごだにぃ」
「じゃあ、ヒデ兄も田植えなんだ・・・」
「そげそげ、うちら二人は、田植えすうけん・・・だけん特売コーナーは任せたけんね。」
・・・・・う~ん、佳奈絵さんは、農家のお嫁さんコースを、まっしぐらに走ってますね(^_^;)


「じゃあ健吾君、次はこの高菜の箱と、人参の箱を売り場にもそんでごすかね。そ~が終わったら、売り場に有る空箱を後ろに下げて潰してごすだわ。あいけぇ楓もぼ~っとしちょらんで、しゃんしゃんてごすうだわね。」
うげ~、たかが婦人会の特売コーナーと嘗めてましたが、これがどうして・・・結構な重労働です。
楓の奴も、ヒ~ヒ~言いながら、売り場に野菜を並べてます。
「ちょっとぉ、健吾に楓ちゃん~。細木のオバサンに付いて行って、お花を運ぶんてごしてあげ~だわ。」
「んお?分かったけん・・・ほら、楓行くぞ・・・」
「あいけぇ、ちょっと待ってごす?もうチョイで、この野菜並べ終わぁけん・・・」
「けぇ、お前はホンにとろいけんなぁ・・・。どこ、貸してみ~だわや。」
「悪かったわね、とろくて・・・」
俺は、ちゃちゃちゃと野菜を並べてから、楓の手を引いて細木のおばさんの後を追った。
「ちょ・・・ちょっと、しゃんに走らんでよ~。ってか、あんた!さり気無く何、私の手握っちょうかね~」
「はぁ・・・うぉ、すまんすまん・・・」
でも、楓は手を振りほどこうとはせず、むしろギュッと握りしめてきた(^^ゞ
細木のおばさんの軽トラの荷台には、沢山の切り花が積んであり、凄くカラフルだった。
「じゃあ、楓ちゃんに健吾君、この切り花のバケツ、売り場までもそんでごすだわ。全部もそんだら、二人でラッピングしてごすかね?」
「え~、細木のおばさん、私、花のラッピングとかした事ないんよ」
「あ~、大丈夫大丈夫、また後で教えてあげ~けんね。じゃあ、こけんやにもそぶだわね。」
「・・・へぇ、細木さんちって、きゃん花とかも作っちょちゃあかね。なぁ楓、ラッピングって花束みたいな奴作うだ?」
「うん、多分ね・・・。農業科の生徒なら得意かもしれんけど、うちらは普通科だけんねぇ・・・。健吾がラッピングなんてしたら、花びらが全部無くならせんだあか?」
「あのなぁ、楓・・・俺って、しゃんに不器用かぁ?」
「うん、かなりね(笑) ほら、しゃんしゃん運んでしまあか。そげしゃあ、ちょっこは休めぇかもしれんし。」
「あげだな・・・さすがに疲れぇな、荷物運びは。」
「あげあげ、もう喉カラカラだけんね、私も」
俺と楓は、ごそごそと切花の入ったバケツを、売り場に運んだ。


「えかね、よお見ちょうだよ・・・こげして下の方の葉っぱをハサミで切ってから、何本か纏めてこのビニールで包むだわ。・・・そげそげ楓ちゃん、えしこに出来ちょうがね♪ ・・・あいけぇ、健吾君しゃん事すうと、花まで痛んでしま~けんね、こげして優しく切ってや~だわ。」
う~ん、たかが花のラッピングと思ってましたが、意外に難しいもんですね。
楓の方は・・・器用に花を纏めてラッピングしています。
楽しそうに花をラッピングする楓の横顔に、つい見とれてしまいました。
「何?健吾・・・何か、私のラッピングに文句でも有~かね?」
「おっ?・・・いや、別に・・・」
やばいやばい、楓と眼が合ってしましました。
「やっぱ、お前も女の子だな・・・中々巧いじゃんか」
「当たり前でしょ、こう見えても私、結構器用だけんね♪」
そう言いながら、照れ笑いをする楓が、一層可愛いと思った。
今まで、楓の事を女の子として意識した事は、正直余り無いけど、花束を抱える楓は、普通の可愛い女の子だった。
それは、きっと楓が花束を抱えているからだけではなく、俺が楓の事を「好き」って意識しているからだろう。
中学の時とは少し違う。
遊びじゃない・・・本気で楓の事を愛おしく思う。
花束を抱える楓の事を、いつまでも見守っていられたら・・・心からそう思えた。
「け~、健吾!ほがほがしちょう場合じゃないわねぇ。もうスグ開店だけん、早や事その花束を並べぇだわね。」
「追う、悪りい悪りい・・・」
いつもならカツンと来る楓の小言も、これからは少しは素直に聞けそうな気がした。
そう、俺の大好きな楓の一言なら・・・


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テーマ:恋愛小説 - ジャンル:小説・文学


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